出兵前夜


雨音が静まったとき後悔しなかったのは
君への愛しさが指先まで通じていたから
隠れているばかりの逢引だったのは
僕がこんな にちっぽけだからだと思っていた

知っているように少しも
勇ましさも忠実さもないから
物語に紡がれるように
君 を連れて逃げたかったけれど

戦闘機から君を思うよ
嫁いで行く君は
もう忘れてもかまわない
ただ自分のため だけに死ぬのだから

ああそれでも書かなければならないんだ
人並みのことを最後にしかしてあげられない
君を最初にそ して最も強く抱きしめただろう
僕は君を愛しています